2020 年 76 巻 2 号 p. I_390-I_395
本研究では大型浮体への弾性係留索の適用性について述べる.弾性係留索は,係留索に常に張力が働くよう係留することで浮体側の係留索取付点の位置が上下しても,係留索による安定的な支持力を保持し,浮体動揺を抑える特性を有する.しかし弾性係留索は500mを超える大型浮体に適用された例は実現されていないため,本研究では弾性係留索により係留された大型浮体の運動応答特性を把握するとともに,その結果をカテナリー係留と比較して大型浮体への適用性に関する検討を実施した.その結果,係留索長をカテナリー係留の1/5の長さに設定しても水平・鉛直方向の動揺が抑えられ,カテナリー係留より安定した応答結果が示された.また年最大の外力条件でも,チェーンおよびラバーロープに発生する張力は破断荷重の 40%以下であり,弾性係留索の大型浮体への適用可能性が確認された.