2020 年 76 巻 2 号 p. I_402-I_407
近年,建設現場の省力化を目的として,プレキャスト部材(以下,PCa梁)の適用が増えている.PCa梁同士の接合には,一般に鉄筋の重ね継手や機械式継手による方法が広く用いられているが,港湾の桟橋上部工では波浪による動揺下での接合になるため,鉄筋同士の接触損傷や施工精度の観点から適用が容易ではない.著者らは過去に,PCa梁接合時の鉄筋干渉を回避できる継手構造としてダブルスクエア継手(以下,DS継手)を考案し,継手のないRC梁と同等の曲げ耐荷力を有していることを確認している.本研究では,DS継手の実用化に向けて,梁断面の大きさやコ字筋とスクエア筋で形成される閉合域の縦横比を変化させた曲げ載荷実験を行い,曲げ剛性や耐荷力,ひび割れ性状,断面内のひずみ分布からDS継手のメカニズムを考察し,実用的な適用範囲について提案する.