2020 年 76 巻 2 号 p. I_714-I_719
日本全国の砂浜管理において粒径分布は基礎的な情報であり,気候変動に伴う将来の砂浜環境の予測においては必要不可欠である.しかし全国を網羅的に高頻度に実測することは時間と費用の面で難しい.本研究では一般市民に普及しているスマートフォンで撮影された画像から簡易に粒度分布の情報を推定する手法の開発を目指し,撮影条件や仮想粒子画像を用いた校正方法の適用性について検討した.愛媛県,和歌山県,三重県の20ヶ所の砂浜海岸のサンプルを対象に従来の重量百分率から算定される中央粒径と本手法による面積百分率で定義される中央粒径の比較を行い,組成や粒径などの砂浜特性や画像解析範囲に応じて相対誤差が変化することを明らかにした.また最適撮影条件について検討し,計測の適用可能範囲や今後の改善点についての知見をまとめた.