2020 年 76 巻 2 号 p. I_708-I_713
2017年8月下旬に北海道小樽市銭函海岸で高校生3名が遊泳中に溺死する水難事故が発生した.事故発生日の現場付近の石狩新港波浪観測所では有義波高は1m程度であった.現場海岸には複数の離岸堤が設置されており,高校生は離岸堤開口部付近の海岸から離岸堤に向けて遊泳していた.本研究では,事故発生場所やその場所の地形や水面の状況を把握する事を目的に,まず現地調査を実施した.現地では地元警察や消防,海上保安庁,事故の通報者などから事故時の状況について情報提供していただいた.また,ADCPとGPSを設置した水上オートバイで現場海域を走行し,調査時の水深や流況を把握した.次にこのデータから現地海岸の地形データを作成し,高校生の身長と水深の関係から事故発生場所の推定を行った.