2020 年 76 巻 2 号 p. I_840-I_845
沖縄県西表島網取湾では,2016年8月にサンゴの大規模白化現象が発生した.本研究の目的は,このサンゴ大規模白化前とその後におけるサンゴ幼生の分散・滞留の状況を明らかにすることである.
2016~2019年のサンゴ被度,一斉産卵の日時,産卵率および風速・風向のデータを観測によって取得し,白化の影響で2017年に37.5%まで減少した産卵率が,2019年には90.0%まで回復したことなどを示した.これらデータに基づき,2016~2019年のサンゴ一斉産卵時における幼生の分散・滞留の数値解析を実施した.その結果,白化前の2016年は,他の年よりも放出された幼生数が多いことに加え,一斉産卵後の北寄りの風向によって,幼生の湾内の滞留率が高く,外洋への到達率が低くなったことなどを明らかにした.