2020 年 76 巻 2 号 p. I_834-I_839
民間浚渫工事で発生する浚渫土を改良したカルシア改質土とスラグ人工石等を用いて,漁業協同組合と民間企業が協働して,沿岸漁業環境改善を目的とした大規模浅場を造成した.造成後,約3年間にわたってモニタリング調査を行い,カルシア改質土で造成した浅場基盤の地盤強度,形状安定性,周辺環境に及ぼす安全性,生物着生効果や当該地域での有用魚介類の漁獲調査等を実施した.その結果,造成した人工浅場は,台風履歴後も崩壊等は生じず安定で耐久性を有すること,カルシア改質土が周辺海域環境に悪影響を及ぼさないこと,ベントス,大型藻類や動物着生効果があること等が確認でき,このような人工浅場の造成によって沿岸漁場環境の改善に寄与できることを実証できた.