2020 年 76 巻 2 号 p. I_887-I_892
日本における洋上風力発電設備の設計指針では,台風やそれに伴う高波・うねり等の気象・海象条件が適切に反映されていない一方で,このような波浪を含めた海象条件が洋上風車の動的応答特性に及ぼす影響に関する検討事例が少なく,これらに関する十分な知見がない状況である.そこで本研究では,着床式洋上風車の合理的な設計手法の構築を目指し,荷重連成解析により,高波やうねりを含めた波浪と風の同時作用下における発電中のモノパイル式洋上風車の動的応答についての基礎的な検討を行った.その結果,風車の動的応答の1つである海底面における曲げモーメントの発生には,定格風速以下の場合には風荷重が,定格風速以上の場合には波荷重が支配的となることが示唆された.