2020 年 76 巻 2 号 p. I_893-I_898
再生可能エネルギーへの需要が高まる中,海洋エネルギー発電技術の実現が望まれている.瀬戸内海は予測可能な潮流が卓越しており,架橋が施されている場所が多く,既存の橋脚を活用した潮流発電が可能となれば発電施設等の建設コストの削減が期待できる.従前の研究にて実施した橋脚近傍の流況観測結果より,橋脚で形成される乱れの影響を回避できる発電装置の最適設置位置が存在することを示した.本研究では,CFDにより橋脚近傍の乱れを含む流況を観測結果と整合させることで再現し,橋脚近傍の流れや乱れの分布が発電装置のエネルギー取得量や強度におよぼす影響を考慮することで,橋脚全体を対象とした発電装置の最適設置位置を選定した.その結果,年間約323.8MWhの発電量が予測値として得られ,当該海域での潮流発電が実現可能であることが示唆された.