2020 年 76 巻 2 号 p. I_947-I_952
2006年9月5日太平洋に面した鉄道H線のT駅とK駅の中間地点において,高波により線路内に流木が運ばれ,これに列車が衝突し緊急停止する運行障害が発生した.このとき,うねり性の波浪が護岸に押し寄せ,胸壁部の倒壊が生じたため,越流が増大し,流木の打ち上げが発生したと推察される.本研究は,運行障害発生時の波浪および潮位を再現した縮尺1/30の不規則波実験を行い,胸壁部に働く波圧特性を明らかにした.次に護岸倒壊により生じた開口部を再現し,護岸背後への越波流量を求めるとともに,流木の長さや比重を変化させて流木の打ち上げ率を示した.さらに縮尺1/10の段波実験を行い,越波による流速を段波により再現し,流木の線路への乗り上げパターンを分析した.その結果,現地で運行障害を発生させた流木の比重が0.7程度と推測されることを示した.