2020 年 76 巻 2 号 p. I_977-I_982
台風1821号が来襲した徳島小松島港沖洲地区フェリーターミナル岸壁では,高潮は岸壁天端高を越えないまでも高波が越波し,浸水被害が生じた.この際,津田・沖洲防波堤では越波の発生が目視により確認され,越波伝達波が港口から入射した波による岸壁上の越波浸水を助長した可能性が疑われた.本研究では,断面実験を行い計測した波高伝達率を用いて,越波計算が可能なブシネスクモデルの再現性を確認したうえで,現況港形及び沖洲防波堤を150m延伸した港形での港内波浪変形計算を実施し,同時に算定される岸壁上の浸水深を痕跡深と比較した.その結果,岸壁背後の浸水深は過小ながら岸壁上の越波浸水状況を概ね良好に再現できること,対象岸壁での当時の越波は港口からの入射波によるものであり越波伝達波の影響は小さいこと,等を確認した.