2020 年 76 巻 2 号 p. I_971-I_976
礫性海岸の護岸背後に位置する道路3箇所を対象として,現地データを用いて波浪による粗石の打ち上げ特性を分析した.さらに,警察および道路管理者から得た情報に基づいて,粗石を伴った越波による走行車両の損傷や通行障害の発生要因を検討した.現地の護岸を縮尺1/15で再現した水理模型実験を行い,不規則波による越波高さと越波流量を計測した.粗石に働く波力を分力計で測定し,波力を粗石の自重で除した無次元波力を用いて粗石の打ち上げ限界波高を求めた.粗石の直径を3種類,比重を4種類に変化させた打ち上げ実験を行い,粗石の打ち上げ高さと波高の関係を明らかにした.以上の実験結果に基づいて,粗石の直径を変化させた場合の打ち上げ高さを推定する計算式を示すとともに,現地で打ち上げられた粗石の諸元を用いてその妥当性を確認した.