2021 年 77 巻 2 号 p. I_181-I_186
マングローブや松林に代表されるグリーンインフラは,環境改善の効果に焦点が当たる一方,防護機能を有するインフラの一部として設計へ織り込まれるには至っておらず,その検討例も見当たらない.防護施設としての取り扱いには,成長・枯死などの有機的に変動するグリーンインフラの植生状況に応じて防護性能の変化を考慮しつつライフサイクルコストを算定する必要がある.本研究では,マングローブを対象に,既往の実験結果から林帯幅・植生密度及び波の減衰効果の関係式を構築して,越波流量との関係からグレーインフラとグリーンインフラの最適な組み合わせ方法を検討する.また,林帯幅の拡幅やコストの変化など将来予測を織り込んだライフサイクルコストの変動傾向についても併せて検討を実施した.