土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.37
段階的に覆砂された造成干潟が創造する生物場
弓岡 亮太德丸 直輝井山 繁日比野 忠史
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_553-I_558

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抄録

 アサリの生産量の減少が著しい沿岸域において,生産量を向上させる造成干潟を構築するために,浚渫泥を用いた新たな干潟造成手法が必要である.本研究では,浚渫泥投入後,段階的に覆砂が行われて造成された干潟を調査対象とし,底質分析,底生生物調査から段階的覆砂の有効性の評価を行った.覆砂完了後,数年経過した地点では,砂層の上に浚渫泥と砂が混在する層が確認され,その環境で生物が多く生息していることが明らかとなった.対象干潟ではアサリの着定の場として良好な砂泥混合層が形成されているが,栄養塩状態はリン制限があるため,アサリの十分な成長が期待できない.アサリの生産のためには,干潟へのリン供給源が必要であり,浚渫泥がリンの供給源として期待される.

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