2021 年 77 巻 2 号 p. I_595-I_600
汽水域の水産有用種にとって重要と考えられている塩分を制約条件として懸濁物質と鉄に拡張した概念モデルを用いて,藻琴湖とシブノツナイ湖における諸過程の寄与の大きさを検討した.概念モデルにおいては,潟湖における流入河川水の滞留,懸濁物の沈降・再懸濁,溶存物質の溶出,および生物的な取り込みを考慮した.モデルによる解析の結果,藻琴湖では流域の土地利用に畑地が多く,土砂流入が大きいため沈降と再懸濁の寄与が比較的に大きいと考えられた.感度解析の結果,シブノツナイ湖の汽水環境は河川改修や気候変動による流量変化,湖内の地形変化,および湖口の閉塞等に対して脆弱であることが示された.