2021 年 77 巻 2 号 p. I_955-I_960
東日本大震災では津波により混成堤が破壊し,その対策として混成堤を腹付工で補強することが検討されている.これまでの研究では,腹付工による補強により混成堤の滑動と支持力の各破壊モードに対する耐力が増加することが分かっているが,耐力を超す津波が来襲し,混成堤が破壊したとしても,その機能を少しでも維持するためには,混成堤の破壊過程を知ることが重要である.そこで,本研究では腹付工を有する混成堤が津波越流により破壊する過程について遠心模型実験によって調べた.実験では,水位差,浸透流,越流,腹付工の洗掘が複合してケーソンが転倒した.腹付工の断面積や幅が大きくなることで,ケーソンが腹付工を乗り越えた後,海底面まで落ちにくくなること,石材の粒径や重量が大きくなることで,転倒が進行しにくくなることが示唆された.