2022 年 78 巻 2 号 p. I_241-I_246
堆積泥微生物燃料電池(SMFC)は底泥の還元エネルギーを電力に変換するデバイスであり,底泥に鉄鋼スラグ(Steal Slag: SS)を混合するSS-SMFCは,鉄鋼スラグと底泥の混合電位-0.6Vまで低下させることで高い発電能力を得ることができる.一方,SS-SMFCはアノードの電流生産能力に対してカソードの電流処理能力が律速となり,一般的な電池と比較して内部抵抗が大きいため実用化に至っていない.本研究はSS-SMFCの実用的な発電仕様を構築の目的として,カソード過電圧を低減する通電方法を検討した.この結果,カソードの酸素供給速度を向上したエアーカソードの開発,電力密度を最大化する外部抵抗とカソード・アノード比を実験的に求め,SS-SMFCの規模拡大が電力向上に繋がることが示された.