2022 年 78 巻 2 号 p. I_307-I_312
港湾構造物の建設時の低炭素化の推進に向けては,計画―設計―施工といった整備プロセスの上流段階において建設時のCO2排出量を数値化し,その排出特性を踏まえた検討を行うことが有効である.上流段階では施工方法等の不確定要素があるため,算定条件が不十分な状態においてCO2排出量を概略推定する手法が求められる.整備計画や構造形式の検討等においてCO2排出量を考慮することで大幅な低炭素化が期待されるため,概略推定手法の確立は有益である.本研究ではケーソン式防波堤に着目し,設計段階でのCO2排出量の概略推定手法について検討を行った.まず,3施設を対象とし,断面諸元や施工条件の相違が建設時のCO2 排出特性に及ぼす影響を傾向分析し,その結果を基に,基本計画段階において基本的な断面諸元に基づきCO2排出量を概略推定する手法を検討した.