2022 年 78 巻 2 号 p. I_343-I_348
沖縄県と鹿児島県に広がる南西諸島には毎年多くの台風が来襲し,高波被害が後を絶たない.高波から人々を守るためには精度の高い予測情報が不可欠であるが,南西諸島のような大洋に点在する島嶼や離島にはほぼあらゆる方向から台風が接近してくるため,台風自体の強さに加えて,経路の特徴や島との位置関係が高波に及ぼす影響が無視できない.本研究では,高波の台風経路依存について調べるため,最初に気象庁ベストトラックと島との位置関係をもとに経路分類を行った.次に,名瀬,那覇,中城湾,平良,石垣の5つの港の全国港湾海洋波浪情報網の波浪データを被説明変数としてデータ分析を行い,台風諸量と各港の波高の相関性を重回帰分析により評価した.台風経路のタイプによって平均波高に有意な違いがあることがわかり,経路分類を行うことで波浪予測精度が向上する可能性が示された.