2022 年 78 巻 2 号 p. I_337-I_342
2019年3月にサイクロン・イダイがモザンビーク国ベイラ市付近に上陸し,甚大な被害が発生した.サイクロン・イダイ来襲時は,比較的潮位が低く,高潮被害はなかったが,高潮位時の被害が危惧された.そこで,本研究では,ベイラ市を対象として,サイクロン・イダイによる被害状況を踏まえて高潮特性を分析し,サイクロン規模と潮位条件を考慮して高潮ハザードマップを作成したものである.
結果として,当該地域におけるサイクロンの移動速度が非常に遅いため,満潮と重なる可能性が高く,サイクロンと大潮の同時生起が被害状況に大きく影響を与えることが分かった.さらに,ベイラ市に最も危険なサイクロンコースはWNWと特定できた.この検討で策定したハザードマップは,2021年5月に広く市民に公開され,関連計画や先方政府の能力強化に活用されている.