2022 年 78 巻 2 号 p. I_55-I_60
Philippineは多数の島々と複雑な湾入海岸線を有するために,波の入射角が著しく大きくなり,海岸線ではHigh-angle wave instabilityによる海浜変形が起こり得る.このような海岸線にあっては,通常の海岸保全工法で用いられている護岸や突堤を用いても汀線維持が難しい.PhilippineのPanai島南部沿岸はこのような特徴を有する.そこで,この沿岸を例として衛星画像の分析と現地調査により侵食実態を調べた.また,エネルギー平衡方程式法により波浪場を算出し,地形変化機構について考察した.この結果,この沿岸では入射角が45°以上と大く斜め入射する場所があり,そこで沿岸漂砂の不連続性が起こるため顕著な侵食が起きていることが分かった.