2022 年 78 巻 2 号 p. I_781-I_786
薬液による地盤改良において,地盤中の薬液の広がりをリアルタイムに把握することができれば地盤改良の品質向上や施工監理の効率化が期待できる.薬液は極めて低比抵抗であることから,リアルタイムモニタリング手法として比抵抗トモグラフィが有効と考えられる.本論文では,比抵抗トモグラフィの適用性を検討するため,注入過程を目視で確認するための透明の模型地盤を構築し,2つの注入孔から着色した低比抵抗の浸透液を注入しながら2次元比抵抗トモグラフィの計測を行った.その結果,それぞれの注入孔から注入した薬液が球状に広がる様子を比抵抗により捉えられた.なお,2つの改良体が連結する瞬間を比抵抗トモグラフィにより判別することは難しいものの,両者が十分に連結すれば,その状況を捉えることができることがわかった.