2015 年 71 巻 3 号 p. I_1-I_8
従来,舗装路面の機能評価は,車両走行時の快適性および安全性に立脚したものが主であり,潜在的な精神疲労に及ぼす影響は不明であった.そこで,本研究では,ドライビングシミュレータを用いた走行試験を実施し,生体脈波計測に基づく心拍変動解析により,「受動疲労」と定義した,路面性状由来の精神疲労を考慮した平坦性評価について検討した.その結果,心拍変動の高周波成分(HF)および低周波・高周波成分比(LF/HF)に着目し,国際ラフネス指数(IRI)との関係をモデル化することで,車両走行時の時間変化に依存した,受動疲労に基づく平坦性評価が可能であることを示した.また,幹線道路における,受動疲労を考慮したIRIの許容水準について検討したところ,5.2mm/mが目安となることがわかった.