2021 年 77 巻 2 号 p. I_1-I_9
熱や紫外線の劣化作用はアスファルト混合物の疲労特性に影響を及ぼし,疲労試験で得られる位相角や単位散逸エネルギーなどの粘弾性パラメータも劣化によって変化するものと考えられる.本研究では,劣化がアスファルト混合物の疲労寿命に及ぼす影響を明らかにするため,熱劣化させたアスファルト混合物の直接引張試験と繰返し圧縮引張試験を実施し,位相角や単位散逸エネルギーの変化と疲労破壊回数の変化について比較した.その結果,劣化したアスファルト混合物はスティフネスが高くなり,位相角や単位散逸エネルギーが小さくなることで疲労破壊回数が大きくなる傾向を示すが,比較的温度が高く粘弾性を呈する領域では疲労破壊回数が小さくなる条件もあることが分かった.