2021 年 77 巻 2 号 p. I_103-I_110
膨大なストック量を有する道路舗装について限られた予算や人員で管理していくためには,舗装の早期劣化を予防し長寿命化によるLCC縮減を図ることが不可欠である.舗装内部の劣化が生じた場合,劣化箇所からの修繕を行わず安価な修繕を行うと,路面が早期に劣化し繰返しの修繕によってかえってLCCが増大するおそれがある.本研究では,舗装の内部劣化や修繕によって変化するLCCを定量的に評価するため,路面劣化と舗装内部の劣化の複合的な劣化状態を定義し,内部劣化によって路面劣化の遷移確率が変わるマルコフ劣化モデルを提案し,修繕計画ごとにLCCを評価可能な手法を構築した.また,架空の劣化モデルで数値計算を行い,内部劣化に応じた修繕を実施することでLCCを縮小できる可能性について定量的に評価できることを確認した.