抄録
開発途上国で交通インフラとして最も重要視されている道路について,各援助機関は積極的に新設及び改修に対する協力を行ってきたが,必ずしも適切な維持管理が行われていないとの報告が目立つ.その結果,道路の機能低下が進行し,安全上の問題や経済発展への阻害要因ともなっている.このため,日本及び各援助機関も道路・橋梁の維持管理そのものへの協力を重視してきている.JICAも増加する開発途上国からの要請に対応し,10件を越える道路・橋梁維持管理に関する技術協力を実施してきている.
今回,これまでの協力の総合的なレビューを行い,課題と教訓を整理し,今後の協力の基本的な方針を検討するための基礎的な調査・研究を実施した.本稿はこの調査・研究の結果を取り纏め,さらに課題・教訓について,追加分析と提言を示すものである.