2016 年 72 巻 1 号 p. 27-37
地域再生に向け,我が国の農山村地域においては,住民,行政に加えて専門家等の外部人材を含めた協働の取り組みが求められている.協働を推進するには協働コーディネーターが必要とされているが,その果たすべき役割や普及・育成に向けた課題は明らかでない.本研究では,専門性を持ち,地域に居住しない外部協働コーディネーターを対象とし,実践のプロファイル手法を用い,その役割と課題を抽出した.結果,外部協働コーディネーターには「見える役割」と,「能力提供」「共感表現」「価値発信」「参加者自主決定の推進」からなる「見えない役割」が存在することを明らかにした.そして,その役割の認識を社会に広め,位置づけのしくみを成立させることにより,専門性を持つコンサルタントが外部協働コーディネーターの業務を担う可能性を示した.