2020 年 76 巻 1 号 p. 1-13
開発援助では,参加型のコミュニティ開発プロジェクトが増加しており,社会開発効果として関係者のエンパワーメントが重視されている.コミュニティ開発プロジェクトはインフラ整備を主な構成要素としているものの,投入内容・実践方法とエンパワーメントの関係は十分に分析されていない.本研究では,国際協力機構によって実施された59プロジェクトを対象に,著者らが構築したエンパワーメント発現メカニズムを用いて,投入内容・実践方法の違いが生み出すエンパワーメント発現差とそれらの差が生ずる要因を明らかにした.また,インフラの種類や実践方法により発現差が生じること,他のセクターと比較しインフラ整備がエンパワーメント発現に優位性を持つことを明らかにした.