2020 年 76 巻 1 号 p. 14-25
2015年の水防法の改正を受け,想定最大規模に基づく新たな洪水ハザード情報の公表が推進されてきた.本研究では,三重県伊勢市宮川下流域を対象に,まずこの新たな洪水ハザード情報が,住民の災害対応の視点から評価した際にどのような個別性や地域性を生み出しうるか評価するとともに,住民を対象としたワークショップを通じて,個別性や地域性を考慮した利用方法がどのような効果を持つか確認した.
結果,新たな洪水ハザード情報において災害対応における個別性や地域性が高まることが確認されるとともに,実際のワークショップのアンケート結果から,こういった個別性や地域性の向上が情報を通じたリスクコミュニケーションを高め,住民の洪水リスクの検討や洪水リスクと自身の関係認識,危険理解の向上につながる場合があることを確かめた.