2021 年 77 巻 1 号 p. 112-129
近年の豪雨災害の増加に伴い,地方公共団体が発災時に被災現場で行う初動対応は増加しており,それらの業務効率化は重要である.一方,ICTの技術革新により,災害時のICT活用も進んでいる.しかし,財源不足を抱える玉名市役所では,災害対応関連予算の確保は困難であった.非効率な初動対応が顕在化する玉名市役所では,財源不足の中,既存のICTを代用することで,初動対応の業務効率化を目指した.官民連携による事前準備を経て,『令和2年度豪雨災害』に対する実際の初動対応を対象とし,ICTの利用拡大を実践した.この結果を最前線で業務に従事した職員に聞き取り調査し,ICT活用の推移と理由を分析することで,的を射た啓蒙が,最前線でICTを利用する職員の利用促進を助力するとともに,業務改善に資することを述べる.