2016 年 1 巻 2 号 p. 81-87
がんは主要な死因の一つである.近年,プロテオミクス技術が飛躍的に発展しており,がんを早期に検出するための新しい血液バイオマーカーの発見が切望されている.しかし,臨床応用されたバイオマーカーはほとんどない.血清あるいは血漿サンプルのプロテオーム解析は難しく,肝臓が産生するタンパク質が豊富に存在する複雑な生体試料中から,がん細胞が産生する微量タンパク質を同定することは容易でない.一方,がん細胞の培養上清は,「セクリトーム」と呼ばれる,がん細胞が分泌・放出するタンパク質や膜タンパク質の断片などを豊富に含んでおり,バイオマーカー探索研究に役立つと期待されている.ところが,セクリトーム解析を行う際にも,サンプル調製から,候補タンパク質の絞り込み,測定系構築に至って様々な工夫が必要である.本論文では,特に,培養細胞を起点としたバイオマーカー探索のための技術的な側面と,利点や欠点についても焦点を当てながら,がん細胞株のセクリトーム解析を通して培われてきた知見を紹介する.