2021 年 77 巻 1 号 p. 84-100
開発途上国では,道路網全体を対象とした悉皆点検が困難な場合が少なくない.一方,点検が困難であっても,構造条件,使用条件,環境条件などの劣化要因となりうる属性情報が利用可能である場合は多い.本研究では,一部の道路区間における路面性状の点検結果に基づいて混合マルコフ劣化ハザードモデルを推計し,異質性パラメータ値と属性情報の関係を表す統計的マッピングモデルを利用して,対象地域全体における劣化速度分布を評価する空間マッピングの方法論を提案する.空間マッピングを用いて,対象地域全体における道路舗装の寿命評価が可能となり,マネジメント上の様々な意思決定を支援できる.最後に,提案した空間マッピング手法をミャンマーにおける簡易舗装の劣化速度評価に導入して,その有用性を分析する.