2021 年 77 巻 1 号 p. 70-83
近年,我が国は開発途上国に対し,橋梁維持管理の能力向上・強化を目的とした技術協力を実施しており,橋梁点検・補修技術の普及,維持管理計画策定を目指した活動が行われている.しかしながら,多くの開発途上国は維持管理計画を策定する上での基礎データとなる台帳類が未整備であることに加え,これまで橋梁点検が実施されておらず,技術協力の開始時点において維持管理の対象となる橋梁の状態が把握されていない.効率的な維持管理を実施していくためには,基礎データを整備することは不可欠である.本論文においては,筆者らが開発したタブレット端末による橋梁データベース作成システムにより,技術協力プロジェクト期間内にカンボジア公共事業運輸省が管理する全国約2400橋の橋梁データベースを構築した手法を述べる.