2022 年 78 巻 1 号 p. 37-49
ラオスでは,都市と農村部にかかわらずごみが散乱しており,特にビニール袋やペットボトルなど「土に還らないごみ」が目立つ.住民たちには「ごみの分別」という概念が無いようにみえる.関西電力が関わったラオスの水力発電プロジェクトでは,貯水池に住む少数民族モン族520世帯3,500人に対して,移転村を建設するとともに固形廃棄物埋立て処理場を建設,運用を開始した.住民らは,山間部で焼畑や狩猟・採集を主とする自給自足の生活から,町に近い平地への都市的な生活へ転換することになり,新たに発生するごみ問題をどう解決したのか,さらに住民の意識は変わったのかの観点から水力発電プロジェクトが果たした役割を検証する.