2009 年 65 巻 1 号 p. 388-392
発展途上国における甚大な地震被害の主な理由として,無補強組積造住宅の倒壊が挙げられる.本研究では,組積造住宅の中でも工学的な扱いがもっとも困難な,整形されていない石積み組積造の耐震補強法として,PP-band工法の適用性を検討する基礎的な実験を行う.PP-band工法とは,通常は荷造りに使われるポリプロピレン(polypropylene)製の紐(PP-band)を用いた施工が簡単で安価な耐震補強法である.不整形石積み組積造の基本的な挙動の理解とPP-band工法の効果を評価するために,せん断,圧縮,引張り試験,さらに補強·非補強の不整形石積み組積造壁供試体を用いた面内·面外破壊実験を行った結果,PP-band工法が不整形石積み組積造の補強法として高い効果があることがわかった.