2009 年 65 巻 1 号 p. 450-455
既設の長大鋼斜張橋の耐震補強のために採用が検討されている積層ゴムダンパーの検証のため,4ヶの積層ゴムを対称配置した積層ゴムダンパーの構造を可能な限り模した積層ゴムダンパー試験体を対象とした正負交番載荷試験を行い,ダンパーとしての基本性能を調査した.また,縮小モデルに準静的載荷試験を行い,制震ダンパーとしての性能評価を行った.積層ゴムダンパーの等価剛性および等価減衰定数は,積層ゴムの面圧依存性が小さいことが見出された.また,ダンパーを構成する積層ゴム体各々の単体試験で算出されるエネルギー吸収能に比べて,その後に積層ゴムダンパーの載荷を行った場合では,エネルギー吸収能が低下する結果が得られた.せん断ひずみ300%以上の変形を与えるせん断変形性能試験においても積層ゴムは破断に至らず,十分なエネルギー吸収能力を保持することを確認した.