抄録
南海トラフ沿いの東海,東南海,南海地震をはじめとして,現在わが国では巨大地震の発生が危惧されている.特に首都直下地震など,大都市とその近傍で発生する地震が日本経済へ及ぼす影響は大きい.本研究では,兵庫県南部地震を対象として,地震前後での土地価格の変動率関数を作成し,地震が土地の価格に及ぼす影響を分析した.その結果,地震から1年後の1996年は建物被害が甚大な地域ほど土地の価格が下落したが,2年目の1997年には全壊·全焼率が高い地域では土地価格の下落が止まる一方で,半壊率が高い地域では下落し続けた.その後,土地価格は全壊·全焼率の高い地域から回復し始め,半壊率の高い地域では回復が遅れた.