抄録
2008年岩手・宮城内陸地震では,地震時の地すべりや斜面崩壊を誘因とする天然ダムおよび土石流が地震災害の主要な特徴として着目された.いずれの現象も地震時の災害形態として認識されているが,既往地震での事例が少ないことから,当該地震の事例は貴重であり,それらの特性を吟味する意義は高い.本研究は,2008年岩手・宮城地震および既往地震における天然ダムおよび土石流の事例に基づいて,それぞれの形成特性および発生特性の検討を行った.そして,2008年岩手・宮城内陸地震(14事例)と既往地震(11事例)の天然ダムおよび土石流(2事例)の要因分析および要因間の関係の考察から,地震に起因する天然ダムの形成特性および土石流の発生特性に関する幾つかの知見を得た.