抄録
2007年3月25日にマグニチュードMJMA 6.9の能登半島地震が輪島市門前町劔地の琴ヶ浜付近を震央として発生し,各地で土砂崩壊や液状化が生じた.特に能登有料道路では,13箇所の大規模な高盛土が斜面崩壊し,最大200mも土砂が流出した.これらについて,筆者は,これまでに土木学会・地盤工学会の合同調査団における幹事長の立場で,石川県および道路公社から貴重な資料を基にして報告書1)作成に携わってきた.そこで本論文では,この地震による道路盛土被害が顕著だった能登有料道路の被害の特徴を分析するとともに,斜面崩壊が発生した13箇所の全てについて被害形態の分類および複合すべり計算を行い,崩壊原因を分析し,今後の建設,復旧のあり方について教訓を得ることを目的としている.