抄録
本論文は,既設工業用水パイプラインシステムの地震防災投資について性能設計の観点から事業利害関係者(Stakeholders)である利用者,事業運営者,設計者・施工者間で合意形成されるべき目標性能値の決定法ならびに最適な地震防災投資の在り方について論述したものである.利用者である企業はBCP(事業継続計画)の観点から地震時要求性能の実現を要請し,事業運営者である水道事業体は施設の平常時・地震時の安定供給の観点から地震防災・維持管理投資を計画するが,両者の目標性能値は必ずしも一致するものではない.本研究では,地震リスクマネジメント手法を用いて,利害関係者が合意できる目標性能値を満足する地震防災投資規模の決定法を提案する.