本研究では,橋梁上を走行する車両の振動応答から橋梁のモード形状を推定する手法を提案し,数値シミュレーションにより検証を行った.本提案手法は,(1)計測車両に入力される強制変位の推定,(2)路面凹凸の除去,(3)移動する計測点から仮想的な固定計測点への変換,(4)特異値分解によるモード推定という4つのステップにより構成されている.ここでは,測定誤差,車両の速度・間隔・質量,路面凹凸の種類,および推定すべきモード形状の差異をパラメータとして,数値シミュレーションにより提案手法の推定精度を検討した.その結果,推定精度は主に路面性状や推定すべきモード形状に依存するが,速度10m/s程度の走行では,いずれの場合でも1次のモード形状は高い精度で推定できることが明らかとなった.