2012 年 68 巻 2 号 p. 356-366
本研究では小型バーグラインダによるクリーニング処理とピーニング処理を組み合わせた処理と低温相変態溶接材料による付加溶接を施し,面外ガセットが溶接された桁試験体の疲労試験を行い,疲労強度改善効果を検討した.ピーニング処理によって導入される圧縮残留応力はばらつきが見られるが,本研究で用いた処理条件を適用することで面外ガセット溶接継手の疲労強度をD等級以上とすることができる.低温相変態溶接材料を用いた付加溶接では,先行して付加溶接を行った側の圧縮残留応力は反対面に付加溶接を行った際の熱により解放され,疲労強度改善効果が低減することを示した.Structural Hot Spot応力の算出に最大主応力範囲を用いることで,せん断応力,応力集中の差異の影響を考慮できることを明らかにした.