抄録
東日本大震災が企業経営に与えた影響は甚大であった.企業の防災及び事業継続対策の必要性と重要性が再認識されるとともに,将来の災害に向け,より実効性のある企業の有事対応プログラムの開発と実装が急務となっており各方面で具体的な解決策が提示されている.これに対し,著者らは在るべき論を語る前に,先ず事実の正確な把握と体系化をすべきであるとの問題意識を得た.そこで,東日本大震災におけて企業の防災及び事業継続の実務で中心的な役割を果たした各企業のCROに代表される危機管理担当者へのヒアリング調査等を通じて,現行の企業BCP/Mの効果と課題の事実把握を目的とした調査を実施した.本稿では,日本の産業界を代表する大企業の3.11における防災及び事業継続に関する現場情報を集約・体系化すると共に.実務担当の声に基づくポスト3.11のERMの方向性を提示する.