抄録
2011年3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震では,津波により東北地方を中心として甚大な被害が発生した.東北地方の太平洋沿岸では,過去にも巨大津波によって大きな被害を受けており,これを教訓として様々な対策がなされてきた.しかし,年月が経つにつれ津波に対する意識が薄れ,繰り返し同じ被害を受けている.本稿では,東北地方で起きた津波について調べるとともに,過去の災害を教訓に集落を高地移転することで,今回の津波による被害を大きく軽減できた岩手県の大船渡市と唐丹村の地区について,筆者らが実施した現地住民へのヒアリング調査の結果について論じる.