2012 年 68 巻 4 号 p. I_126-I_137
各種施設の被害推定に用いる地震動強度指標として,SI値や計測震度等が用いられることが多い.地震動の震源特性や地盤の増幅特性は周波数特性を有するので,より精度良く地震動分布を推定するためには,応答スペクトルを用いるのが有効である.一方で,即時被害推定システムにおいては,簡易に評価できる必要がある.本論文では,横浜市強震観測網の記録を用いて,各点の平均スペクトル比を評価し,これを用いて応答スペクトルの補間推定を行った.その結果,1)応答スペクトルを用いることが有効である,2)SI値への影響が大きい周期0.5~2.5秒において,深さ20mまたは30mまでの平均S波速度と増幅率の相関がよい,3)平均スペクトル比を用いることで精度良く地震動を推定できる,ことが分かった.