2012 年 68 巻 4 号 p. I_138-I_151
東京湾臨海部の埋立地において,工学的基盤を含めた複数の深度で地震観測を行う鉛直アレー地震観測が行われており,2011年東北地方太平洋沖地震での地震動を観測した.工学的基盤での最大加速度は50cm/s2程度であったが,観測地点周辺では液状化を含む工学的基盤以浅の表層地盤の非線形挙動に起因すると考えられる被害が見られた.そこで,地震観測記録の分析と地震応答解析結果から,東京湾臨海部に生じた地震動特性と工学的基盤以浅の表層地盤の非線形挙動の検討を行った.その結果,工学的基盤を含めた地震動には長周期成分の卓越が見られ表面波が含まれている可能性があること,表層地盤に発生した最大せん断ひずみは10-4~10-3レベルであったこと等が明らかになった.