2012 年 68 巻 4 号 p. I_209-I_219
地震動のフーリエ位相特性に着目した既往の研究の中には,過去に発生した大地震とそれに伴う特定の余震による地震動のフーリエ位相特性は概ね類似していることが指摘されている例がある.このことは,将来の大地震による地震動を予測する上で,中小地震による地震動のフーリエ位相特性が大変有用であることを示唆している.本論文では,例として2003年十勝沖地震(MJ8.0)を取り上げ,大地震による地震動とその震源域およびその周辺で発生した複数の中小地震による地震動のフーリエ位相特性の類似性を定量的に評価し,フーリエ位相特性の類似性と中小地震の発生位置の関係を示す.