2013 年 69 巻 1 号 p. 101-120
CFT橋脚の耐震性能向上メカニズムとして,一旦生じた鋼管の局部座屈変形がその後の繰り返しで修復され,座屈変形の進展が抑制されるという今までにほぼ未知の挙動を著者らは数値解析で明らかにした.ここでは,その妥当性を円形断面CFT橋脚の2方向繰り返し実験と加振実験により検証した.その結果,鋼管に局部座屈が発生すると,圧縮力の大半はダイヤフラム等を介して充填コンクリートに伝達され,鋼管の圧縮力が減少すること,さらに,曲げモーメントで発生する引張力の大部分は鋼管に作用し,この引張力で鋼管の座屈変形が修復されことも明らかにした.加振実験では地震動のピークで発生した塑性変形は後半の振幅漸減域での繰り返しで減少し,残留変位が大幅に低減される挙動も観察された.これには局部座屈変形の修復挙動の関与が考えられる.