2013 年 69 巻 4 号 p. I_171-I_181
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,地震動や津波による水管橋の被害が複数報告されている.本研究は,地震動で被災した水管橋の中で最も口径が大きい,茨城県水戸市那珂川を横断する那珂川水管橋に着目し,その被害メカニズムの解明を試みた.本水管橋の微動観測により振動特性を明らかにし,これらを固有値解析で検証するとともに,推定された地震波形に基づく3次元時刻歴応答解析を行った.水戸市周辺では,高振動数成分が卓越した強震動が観測・推測され,本水管橋の固有振動数での応答値はレベル2地震動の設計値を下回っていたが,高振動数成分で設計値を上回る地震動であった.本解析では,推定地震動を用いることで橋軸直角方向の支承の損傷状況を再現した.