2013 年 69 巻 4 号 p. I_345-I_357
必要なハード整備と減災活動を継続していくため,津波防災施設の役割と限界を明確に示す必要がある.ここでは,地震の発生頻度を考慮した上で複数の大きさの地震の発生可能性を考え,それぞれに対して津波被害想定を行うことにより,ある規模Hの津波防災施設を建設したときの期待被害軽減額B(H),期待被害額D(H)を算出する手法を提案する.また,津波防災施設の規模に関して速やかに地元自治体と合意して減災を進めるためのスキームとして,本手法の結果と費用C(H)を考慮して,社会の負担を小さくする方向で合意を促進するスキームを提案する.本手法を用いると残余リスクを明らかにでき,具体的な減災目標を設定することが可能である.