2013 年 69 巻 4 号 p. I_337-I_344
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では,京浜工業地帯・京葉工業地帯の沿岸部の埋立地において,液状化に起因した工場の被害が多数発生した.このような工場の被害において,工場敷地内の液状化の有無に基づいて被害の傾向を評価することは,今後の液状化対策の費用対効果等を検討する上で有用である.そこで,本検討では,地震動強さおよび液状化の有無と工場の被災による経済損失の関係を,種々の公表資料から調査した.地震動強さは工場近隣の計測震度とし,液状化の有無は工場近隣における液状化の有無により推測した.また,被災による経済損失は,有価証券報告書の記述から推計した.そして,液状化が生じた場合の工場の敷地面積1m2あたりの工場の被害増加額を概算した.